ディスカッションペーパー

ディスカッションペーパーとは

金融研究センターにおける「ディスカッションペーパー(DP)」とは、当センター所属の研究官等が、研究成果を取りまとめたものです。随時掲載しますので、ご高覧いただき、幅広くコメントを歓迎します。電子メールでのコメントは、frtc_comments★fsa.go.jp宛(注:★を@記号に置き換えて下さい)にお寄せ下さい。

なお、DPの内容はすべて執筆者の個人的見解であり、金融庁あるいは金融研究センターの公式見解を示すものではありません。

令和7年度ディスカッションペーパー

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ファイル 題名 執筆者 年月
DP2025-3
(PDF:1,046KB)
監査業界における生成AI利活用に伴う可能性及び監査品質上の課題についての考察 野間 幹晴 2025年7月
DP2025-2
(PDF:1,336KB)
国際動向を踏まえた金融機関における実効性のある TLPT に関する考察 北原 幸彦 2025年7月
DP2025-1
(PDF:1,731KB)
保険代理店にかかる海外制度調査
-大規模乗合代理店を中心として-
中出 哲
山下 徹哉
𡈽岐 孝宏
鄭 燦玉
2025年6月

ディスカッションペーパー要旨

DP2025-3
「監査業界における生成AI利活用に伴う可能性及び監査品質上の課題についての考察」

   野間 幹晴    金融庁金融研究センター特別研究員

生成AIを含むAIは、技術的な急速な発展を遂げており、社会のさまざまな分野に大きな影響を与えている。監査業界においても、生成AI等の導入や活用、その検討が浸透しつつある。監査業務における生成AI等の利活用は、効率化等により監査品質や監査の担い手不足などに対してポジティブな帰結をもたらすことが期待されている。一方、AIへの過度な依存やブラックボックス化、情報漏洩、ハルシネーションなど、監査人の能力や監査品質などの低減に繋がり得る課題があることも想定される。

監査における生成AI等の利活用に係る可能性や課題については、監査法人、業界団体、監査監督当局、国際機関等において議論されているほか、学術分野においても、監査実務における生成AIの活用可能性、AIが監査法人の人材採用に与えうる影響等に関する先行研究が行われている。例えば、Law and Shen (2025)では、AIが監査人の業務職務を代替するのか、それとも補完するのかという論点について分析が行われ、Fedyk et al. (2022)では、AIが監査品質と効率に対して与える影響について実態調査を行っている。

本研究では、これらの先行研究に加え、生成AI等の利活用の実態、各国の監査監督当局、国際機関の動向等を踏まえたうえで、監査業界における生成AI利活用に伴う可能性及び監査品質上の課題について考察する。

キーワード:生成AI、監査、監査品質

DP2025-2
「国際動向を踏まえた金融機関における実効性のある TLPT に関する考察」

   北原 幸彦    金融庁金融研究センター研究官

昨今、金融機関を狙ったサイバー攻撃の脅威が増加しており、また、攻撃手法も日々高度化・巧妙化を続けている。金融機関においては、このような巧妙化し続けるサイバー攻撃に対応すべく、日ごろから自機関におけるサイバー攻撃リスクを把握するとともに、そのようなサイバー攻撃に対して単にシステム面での対策を行うだけでなく、攻撃に対する人の動きや対応プロセスの整備も含めて強化していくことが重要である。

こうした背景の中、現実に起こりうるサイバー攻撃に対して金融機関の対応態勢がどの程度有効に機能するかを検証し、その改善と、更なる高度化に向けた教訓を得るためのアプローチとして、脅威ベースのペネトレーションテスト(Threat-Led Penetration Testing、以下、「TLPT」)の有効性の評価が高まっている。日本国内においては、特に大手金融機関を中心に TLPT の実施が増えてきている一方で、海外では、欧米を中心に先行して TLPT の取組みが進められているとともに、関連した法制度や各種フレームワークの整備などが進んでいる。

本稿では、こうした諸外国の金融機関における TLPT の取組みに関連した動向や、法令・各種フレームワーク等の整備状況をまとめるとともに、そうした諸外国の動向を踏まえ、日本の金融機関が TLPT を実施するにあたって、そのあるべき姿や留意すべきポイントなどについて考察する。

キーワード:サイバー攻撃、サイバーセキュリティ、TLPT、脅威ベースのペネトレーションテスト

DP2025-1
「保険代理店にかかる海外制度調査 -大規模乗合代理店を中心として-」

中出 哲   金融庁金融研究センター特別研究員
山下 徹哉    金融庁金融研究センター特別研究員
𡈽岐 孝宏    金融庁金融研究センター特別研究員
鄭 燦玉   金融庁金融研究センター特別研究員

昨今、保険業界において、大規模な乗合損害保険代理店による保険金不正請求といった不祥事案が相次いでいる。こうした不祥事案への対応策の一つとして、金融庁は令和7年に保険業法改正案を国会へ提出した。今般の不祥事案に限らず、これまで、日本の保険募集制度は不祥事案等の過去の経験を踏まえて進化してきた。こうした流れは海外でも同様であり、それぞれの事情を踏まえて発展してきた諸外国の制度設計には、我が国の保険代理店制度の更なる進化に向けた検討にあたり参考となる点が存在すると考えられる。

本調査では、今般の不祥事案への対応のみならず、中長期的視点に立った検討にも資するべく、大規模乗合代理店を中心に、保険代理店における免許・登録制度や態勢整備規制、行為規制といった保険募集制度等に関し、米国、イギリス、ドイツ及び韓国の保険代理店制度を調査した。各国で共通する部分もあれば、背景に存在する市場の特徴や他の経済制度等による違いがある場合もあるので、外国の制度が日本にも適合するかは慎重に検討する必要はある。しかし、上記4か国の状況を知ることで世界の潮流を知ることができるとともに、我が国の制度の特徴も明らかになり、我が国における保険代理店制度のあり方を検討する上での示唆を得ることができた。そのため、まとめにおいて、本調査の中で特に興味深い点について取り上げた。

キーワード:保険、保険代理店、保険業法、保険募集制度

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